情炎の花〜その瞳に囚われて〜
自分が刺されて手術まで受けたのに、俺は無事かと聞いてきた。
凪はやっぱり強い女なのかもしれない。
まだ自分を上手に出せないだけなのかもしれない。
俺を見て怯む様子もない。
こんなに感情を出せる。
あまりの剣幕に逆に俺が何故か謝ってしまった。
こんな事初めてだ。
それもそうか。
あんな場面に飛び込んでくるくらいだもんな。
さすがだと思った。
高校にも行けず、祖母の元で働き、17歳で知らない街にやってきて今まで誰にも頼らず一人で生きてきた女だ。
強くないわけがない。
でもきっと自分では気付いてないんだろうな。
だからせめて俺の前ではこれまで我慢してきた分、ポールダンスをしている時のように自分を解放してほしい。
どんな凪も受け止めるから。
あの日以来のキス。
とって食ってしまいたい衝動を抑える。
深く貪るようにキスしたい。
なんとか我慢しながらそっとキスを続ける。
やめたくねぇ。
そんな事を思っていれば突然声を上げる凪。
何かと思えば、彪の所に行くだの、待ってるだの。
俺はそれが猫だと知らなかったからだいぶ焦った。
危うく彪に嫉妬するところだった。
いや既にしていたな。