情炎の花〜その瞳に囚われて〜
そして、とある高級そうな高層マンションのスロープに迷わず入ってエントランスの前で停車した。

彼はすぐにエンジンを切る。
音、凄いもんね。
今、夜中だし。

「ごめん。ちょっとだけここで待ってて」

「あ、はい」

私はヘルメットをとって男性に渡した。
男性は受け取ると、バイクの駐車場があるだろう方向に向かって押して行った。

ビショビショだ。
ゲリラ豪雨だったようで今もまだ降り続いている。

私のTシャツの中では子猫はすっかり大人しくなったようで、なんとか少しの引っ掻き傷で済んでそうだ。

寝たのかな?

首元からTシャツの中を覗けばやっぱり寝ていた。

よくあんたこんな時に寝れるね。
思わず笑ってしまった。

「ごめん。お待たせ。とりあえず、中入って」

さっきの男性だろう人が戻ってきた。
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