情炎の花〜その瞳に囚われて〜
指紋を読み込ませて迷わず最上階のボタンを押す玄。

「指紋認証? 一番上なの?」

「ああ。指紋を登録してるやつしか最上階のボタンは押せない」

凄いな。

そして、エレベーターが最上階で止まって開いた。


え?
玄関の中⁈

ドアないの⁈

なんとここはすでに玄関のホールみたいになっていた。

奥に扉がある。

玄は土足のままその扉に向かって進む。
そして扉を開けるとまた玄関ホール。

でもここにはシュークロークなどがあって、玄の靴が綺麗に並べてあった。

ピカピカの大理石のフロア。
広い玄関に感動していると奥にまた扉があって、中からヒョウがカリカリしているのがスモークガラスから見えた。

「ヒョウ!」

「ニャー」

玄が扉を開ければピュンと走って出てきて、私の匂いを嗅いで鳴きながら足の周りをぐるぐる回る。

ヒョウを抱き上げる。

グルグルと喉を鳴らして顔をすり寄せてきた。
ただいま。ヒョウ。
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