情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「こっち」

玄に呼ばれ扉をくぐればそこはとんでもない広さのリビングだった。
彪くんの部屋よりも更に広い。

しかも宙に浮いたような階段もある。
二階建てなの?

凄すぎる。

ヒョウは私の腕の中からピョンと飛び降りて、今度は玄の周りを回ったあと、こっちだよと言うように、振り向きながら歩いてみせた。

そしてついて行くとそこには猫用の丸いランニングマシーン。
近くには天井まで続くキャットタワー。
猫用のベッドなどがあった。

え?
ここヒョウの部屋?

私は何も言わずに玄を見る。

「あー。まぁ。な」

何も言ってないんだけど若干気まずそう。
既にヒョウにメロメロなんだな。

入院中だけの為にこんなに揃えてくれたの?
彼は想像以上にリッチらしい。
まぁ、確かにこの家も凄いもんね。

ヒョウはピョンとランニングマシーンに飛び込むと勢いよく走り出した。


「凄いね」

「お気に入りらしい」

「いろいろありがとう」

「好きでやってんだから礼はいらね」

彼は何でもないみたいにそう言った。

そしてまたリビングに戻る。
にしてもすごい眺めだ。

窓側に歩み寄り外を見る。
指紋つきそう。

すると玄は後ろから私を包み込むように躊躇なく窓に両手をついた。

< 113 / 259 >

この作品をシェア

pagetop