情炎の花〜その瞳に囚われて〜
まぁ彫物があって傷はあまり目立たないけど、なくなりはしない。

右肩から左の腰までザックリと一本。
そこに背中全体に散りばめたような切り傷と縫い目の跡がケロイドになってボコボコしている。

彪の背中もなかなかだけど、俺もなかなかだ。

これまで適当な女を抱く時ですら上は脱がなかった。
見せる義理もねぇしな。

彪の師匠である彫師はデザインは自分が決めるスタイルで、こちらの意見は無視だ。

まぁわかっててやってもらったから文句は言えねぇ。

俺の背中には大きな蓮の花に乗った阿弥陀如来がいる。

何でこれ? って思ったのが正直なところだが何か感じるものがあったんだろう。

背景には般若心経の文字。
しかもガッツリ和彫っぽいデザインではなく、グレーのカラーで立体的なアートに近いデザインだ。
まるでモノクロの写真のような。

彪の般若も同じテイストだったから、俺たちには和彫じゃないと思ったんだろうな。

しかも彪と同じ般若心経が背景になっていて、2人で見せあった時には、「仲良しか」と笑いが止まらなかった。

あとは腕や胸、腹も。脚にもある。
背中以外は彪にしてもらった。



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