情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「いいなぁ」
思わず口からポロっと出てしまう。
ハッとして玄を見上げれば目が合った。
しっかり聞こえてしまったようだ。
私は恥ずかしくなって目をそらした。
今日彪くんとあんな話しをしたから、余計に意識してしまう。
「凪。おいで」
え…
振り向けばヒョウを抱えたまま腕を広げる玄。
私はおずおずと近づき抱きついた。
そのまま腰に手が回り引き寄せられ片手で抱きしめられる。
そして優しく私の頭を撫でてくれた。
私も猫だったら今ごろヒョウのように喉を鳴らしてしまっているだろう。
普段あまり玄は私に触れようとしないから、なんだか今日はいつもより甘い感じがする。