情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「お、お邪魔します」

なんだここは⁈
確かにエントランスも凄かった。
めっちゃ高級マンションじゃんか。
今思えば何をのこのこついて来てしまったのか。
こんなズタズタに濡れた格好で入れないよ。

やっぱり帰ると言おうと思い口にする。

「あ、あの…」

「ん? どした?」

「その…靴下も濡れちゃってて…」

「ああ。タオル持ってくるな」

え、そういう事じゃなくて…

彼は自分もずぶ濡れになった靴下を脱いだ。
あ、足の甲にもタトゥー入ってる。


そしてペタペタと裸足で歩いてどこかに行くとタオルを持って戻ってきた。

そして私の前にしゃがむ。

「靴下脱がせるな?」

もうここまで来ると逆に断りずらい。
とりあえず上がらせてもらおうかな。
外は大雨だし。

「いや、自分で…」

「猫、抱いてるでしょ」

あ、そうだった。

「す、すみません。お願いします」

「ああ。んじゃ、ちょっと失礼」

そう言ってすぽんすぽんと脱がされて、タオルで割と強めにガシガシ拭かれた。

「あ、ありがとうございます」

「よし。こっち来て」
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