情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「んで?」

俺は玄に聞く。
時刻は朝の5時。
玄はいつものようにドカッと俺んちの家主の如くソファに座る。

「だから、寝れねぇのよ」

「お前、マジで。頭おかしいんじゃねぇの?」

「なぁ」

「なんだよ」

「すぐ抱いたらまだキツいもん?」

「知るかよ!」

俺も処女相手にした事ねぇし。

「…抱きてぇ」

なぁ。
中学生でもあるまいし。
何言っちゃってんの?

「お前、凪ちゃん起きた時隣にいなかったら心配すんじゃねぇの?」

玄はガバっとこっちを向いた。

「帰る」

そう言って、嵐のように去って行った。

「はははは」

バカだアイツ。

でも不思議とドス黒いドロついた感情はなかった。

「唯一無二か…」

そうだな。
何も心配する事じゃなかったんだよな。
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