情炎の花〜その瞳に囚われて〜
すると逆さまになった状態で、俺に気付いた。

そのまま真剣な表情からパァと花が咲いたように笑顔を見せて、スルッとポールから降りた。

凪は俺の前でよく笑うようになった。
それがとても嬉しい。

扉を開けて出てきた凪。

「おかえりなさい」

「ああ。ただいま。悪いな、邪魔して」

「ううん。私も気づかなくてごめん」

そう言って凪からキスをしてくれた。
そして俺の肩に乗るヒョウの耳をくしゃくしゃっと揉むように撫でた。

凪は俺の気持ちをちゃんと知ってからこうして自分から甘えてくれるようになった。

俺の前でだけ。
俺だけが知る凪だ。

この自然な笑顔は俺のものだ。

凪が明るくなったのは嬉しいのに…
彪は友達第一号だから百歩譲っていいとしても、他の奴らなんかに見られたくないと思ってしまう俺は、相当心が狭いらしい。
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