情炎の花〜その瞳に囚われて〜
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〜凪side〜

いよいよだ。

店に行って挨拶をすれば、「オーナーから聞いてる」とか、「大変だったね」とか言われてポカンとしてれば、玄がオーナーだと言い出して
さすがに開いた口が塞がらなかった。

オーナーだったの?
何で私に言わないのよ。

でもそれもそうか。
自分の店だから私はこうしてまた人前に出れるんだ。
じゃなきゃきっと組員の人達でガチガチに固めるはずだもんね。


そして衣装に着替える。

袖にスタンバイして深く深呼吸をした。
やっぱりこの瞬間はいつも緊張する。

大丈夫。

暗転してポールに手をかけポーズをする。

音楽に合わせてスポットライトが当たった。

玄。
見てる?

久しぶりのステージにより高揚感が増す。

やっぱりこれだ。

拍手が浴びせられる。

そしていつもの場所に目を向ければあの時みたいに鋭い眼光を向ける玄の姿があった。

今ならわかる。
私に釘付けになっているという事に。
そして目が合うと玄は立ち上がり出て行った。



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