情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「私は玄のでしょ?」

「…ああ」

「玄にしか、こんな…玄にだけだよ? わかんない?」

私は玄がいるから生きてる。

目があって玄の瞳がグラっと揺れたと思えば、フッと笑った。

「ああ。そうだな。共有は出来ないが、他のやつに見せてやるくらいはしてやってもいい」

「ふふっ何それ」

「お前は、俺のだもんな」

「そうだよ。玄のだよ。玄にこの命、助けてもらったあの日から私は玄の為につかうって決めたの」

玄は驚いた顔をする。
そしてまたいつもの優しい顔をした。

「凪。愛してる」

「私も。玄」

「悪かった。その…手荒で…」

私は首を横に振る。

「ショーが終わった時、玄がすぐに出て行っちゃって、寂しかったよ」

「ああ。悪い。お前が魅力的すぎてステージまで行って攫ってしまいたくなるんだよ俺」

< 176 / 259 >

この作品をシェア

pagetop