情炎の花〜その瞳に囚われて〜

「え？　だから前からすぐに帰っちゃってたの？」

「ああ。我慢できなくてな」

そうだったんだ。
嬉しい。

「帰ろう？　帰って…もっと、優しくして？」

「凪…あんま煽んな」

「足りたの？」

「……足りない」

ほらね。

「優しくね？」

「ああ。とろけるくらいにな」

玄はそう言ってキスをするとまたギュと抱きしめた。

嫉妬した玄は強引になるけど、いつもの落ち着いた雰囲気とは違って、駄々をこねる少年のようにも見えて私にはそれがとても愛しく思えた。

「あ！」

着替えながら大事な事を思い出す。
玄もこちらを向いた。

「玄、ここのオーナーだったの？」

「ああ。言ってなかったか？」

「聞いてないよ！」

「そうだったか？」

なんて言ってる。
あのマンションだって…
この人は一体どれだけの…

まずいいか。
聞いたところでよくわかんないし。

そして家に帰ると玄は言った通りベッドの上で、優しく私をとろけさせた。