情炎の花〜その瞳に囚われて〜
学費も全て出してくれた。
働いて返すという俺を、「ガキがカッコつけんな。息子からもらう親がどこにいんだ」と引っ叩かれた。

本当に、頭があがんねぇ。
今だってこうして家を出てからも、養子でもなんでもないのに俺を家族として迎えてくれる。

思わずギュッと拳を握った。

「凪、起きろ。着いたぞ」

玄が凪ちゃんに声をかける。

「ん…。あ、おはよ」

なんか声が…
凪ちゃんこれ寝ぼけてるね?
俺もいるからね?
やめてね?

「はよ」

玄も玄だ。甘い声出しやがってよ。
このままおっぱじめそうだなこの二人。

「あのー」

「あ! おはよ! 寝過ぎた!」

急に慌てる凪ちゃんに思わず笑ってしまう。

「凪ちゃん。行こう。親父が待ってる」

玄はそう声をかけた俺を見てフッと口角をわずかに上げた。

「ああ。俺たちの親父、凪に合わせろってうるせぇからよ。行くぞ」

俺たち。

言われてみれば人生の半分以上を玄とは一緒にいるんだもんな。
胸が熱くなるのを感じた。
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