情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「こ、ここ？」

「ああ。ここが、俺たちの家」

玄が驚く凪ちゃんに言う。

「すごいね」

そして門が開きスーっと車が中に入った。
相変わらずだな。

だだっ広い庭に黒塗りの車がズラッと並んでいる。
今日は正月だからあちこちから傘下の組が親父に新年の挨拶にやってくる。

俺たちも今日は黒のスーツを着ている。
凪ちゃんは松田が用意した若草色の着物を着ている。

これまた超絶綺麗でさすがに俺も驚いた。
口に出すと玄からまたケツを蹴られそうだったから黙ったけど。

親父の驚く顔を想像して思わず笑ってしまった。


そして大勢の組員に出迎えられた。

「「おかえりなせい」」

組員は珍しいものを見るかのように凪ちゃんを見ている。

玄は凪ちゃんの腰に手を回して歩き出した。
凪ちゃんもさぞ驚いて…

と思ったら、なんと全く動じる様子もなく歩き出した。

ど、どゆこと？
凪ちゃんて本当に不思議だ。
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