情炎の花〜その瞳に囚われて〜
中に入って大広間へと向かう。

組員が襖を開ければそこは大勢の傘下の組頭達が着物を着て勢揃いしていて、ガヤガヤと話していた。

そしてこちらを向くとピタっと静かになった。
凪ちゃんを見てるんだ。
この玄が初めて女を連れて帰ってきたから。

「見せもんじゃねぇぞ」

横から松田がドスの効いた声を出せば、「へ、へい」と返事が返ってきてまたガヤガヤとしだした。

そして一番後ろへ並んで座る。
黒澤組の正月の挨拶は、傘下がまず親父に挨拶をして、親族は最後に周り、最終的に一番前の席について食事をとる。

これがわりと長い。
ふと横を見れば、相変わらず何も話さず澄ました顔をしている二人。

玄に至ってはあれはいつも通り苛ついてる顔だが。

この二人はお互い沈黙の時間を何も気にしないんだろうな。
もともと人前でわいわい騒ぐタイプでもないし。

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