情炎の花〜その瞳に囚われて〜
『玄へ。
今までお世話になりました。
探さないでください。
さよなら。
凪』

ドクンと胸がひとつ大きく波打つ。

それだけ書かれた一枚の紙。
これは確かに凪の字だ。

クシャッと握りつぶした。

「どこでこれを?」

「テーブルにあったそうです。ネックレスと初期化された携帯とクレジットカードも添えて」

「渡部は?」

「それが、渡部が一瞬車に携帯を取りに行った隙だったようで」

「防犯カメラをチェックしろ。街中全部だ」

「承知」

「それから、凪の携帯の復元を」

「承知」

クソ。
どうなってる。

凪は今朝まで普通だった。
離れるなんてどう考えてもおかしい。

俺は信じない。

きっと何かあったに違いない。

今は他の組とも冷戦状態で何もないはず。
誰が接触した?

凪…
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