情炎の花〜その瞳に囚われて〜
その時、またインターホンがなる。
ど、どうしよう…
でも今渡部さんを入れなかったら怪しまれる。
解除のボタンを押した。
渡部さんがいつものように入ってくる。
「おはようございます」
私がいつものように声をかければ、ペコっと会釈をするといつもの定位置に立った。
今日はハウスクリーニングも来る日だし…
携帯を見ればまだ通話中になっている。
どうやって一人で家を出れば…
とりあえず二階の部屋へと向かう。
「もしもし…」
「ったく。相変わらずのろまね。紙とペンをだして、言われた通りに書きなさい」
嘘でもこんな事書きたくない…
でも私のせいで玄が危ない目に合うなんて我慢できない。
そして言われた通り震える手をなんとか動かして書いた。
「書いたら、身につけてるアクセサリーや携帯、クレジットカードとかも全部置いてさっさと家から出るのよ。急いで。携帯は電話が終わったら初期化する事。いいわね? ちょっとでもおかしな行動とれば、今すぐにでも黒澤に乗り込むと言ってるわ。私がいま、なんとか引き止めてるのよ?」
「わ、わかった。で、でも、ボディーガードが今部屋に来てるの…」
「そんなのタイミングみて出てこれるでしょ」