情炎の花〜その瞳に囚われて〜
するとコンコンと部屋をノックされた。

まずい!
聞かれた⁉︎

「凪さん。すいやせん。携帯忘れちまって。一瞬車戻ります。このままここにいてくだせぇ」

「あ、はい!」

チャンスだ。

渡部さんが出て行ったと同時に、ネックレスを外してカードも置いて、携帯を初期化してテーブルにメモを置く。

玄…ごめんね…
愛してる。

こんなにも自分の戸籍を恨んだ事はない。
よりによって戸籍上だけ母親ってだけなのに、敵対する組の女になってるなんて…
抗争だなんて…

ヒョウもごめん…

そして玄関から直接繋がっている非常階段の扉を開けて一気に駆け降りた。

足がもたれる。

渡部さんはすぐに気づくだろう。
急がないと!
迎えってどこ?

「凪さんですね? こちらへ」

そう言って一人のスーツを着た組員ぽい男性が黒塗りの車の後部座席を開けた。

私はそのまま乗り込んだ。
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