情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「あははは! アンタもあの女もチョロいわよね!」

え?

「あんたの母親。金を少し握らせたらホイホイ協力してくれたわよ? あんなの嘘に決まってるじゃない」

それじゃ…
騙されたって事?

それじゃ…
抗争の心配はないって事?

良かった…

「なんで、そんな落ち着いてんのよ! 正月の挨拶の時だってスカした顔して、頭にくんのよ!」

正月の挨拶?
って事は、この人傘下の組の誰かなの?
あの場にいたって事?

「あんた。どうせ身体使って玄さんを丸め込んだんでしょ? じゃなきゃあの、冷徹非道な玄さんがこんな女、相手にするわけないもの」

何も言わない私に、目の前の女は続ける。

「あんたよっぽど床上手なのね。あんな仕事してるくらいだもの」

あんな仕事って…
床上手ってなに?
初めて聞く単語だ。
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