情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「抱っこ?」

私は子猫を抱きあげた。

すると子猫はグルグルと喉を鳴らして満足気にしている。

「かわいい。家主に挨拶いこうか」

そして部屋を出ると、家主はおらずテーブルの上にメモがあった。

『ぐっすり寝ているようなので、仕事に行きます。鍵はオートロックなのでそのままで大丈夫です。何か、体に異変があれば病院に行くように。お支払いします。とりあえずタクシー代置いとくので足りるかわかりませんが使ってください。起きたら連絡ください』

すぐ側には、一枚の名刺と二万円が置いてあった。

『tattoo studio "INC"
代表取締役社長
彫師 水野 彪(みずのひょう)』

彫師…
なるほど。どうりで。
あのカラフルなお兄さんは彫師をしているらしい。

改めて泊めてもらったお礼もしないとだよね。
まずは、帰るか。

広いリビングのガラス張りになってる窓から外を見れば、昨日の大雨が嘘のように晴れ晴れとしていた。

「ニャー」

猫を病院に連れていかないと。


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