情炎の花〜その瞳に囚われて〜
吹っ飛んだ女の髪を掴み起こす。

聞けば三発も凪を殴ったと言う。
迷わず歯を引っこ抜いてやろうとした時、凪が抱きついてきた。

凪。

それでも俺は気が済まない。
俺の大事な凪をこんな目に合わせてただじゃ…

すると凪が俺の頰を掴みキスをしてきた。

凪…

凪だ。

凪がいる。

凪が俺にキスをしてる…

荒ぶった感情が凪により静まっていくのを感じた。

組員が凪を連れ出そうとするのを静止して、俺は凪を抱き抱えた。

それでも落とし前はつけないといけない。

あの女は一生風俗漬けだ。
それでなんとか勘弁してやる。

あのまま凪に止められなかったら泣こうが、わめこうが歯を三本どころか全部引っこ抜いて、爪を剥がし、最後には本当に息の根を止めていたかもしれない。

俺はこうして生きてきた。
なめたやつは許さない。

相手が女だろうが何とも思わない。

これが俺の住む世界のルールだ。
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