情炎の花〜その瞳に囚われて〜


なのに、凪ちゃんがあの場にいて止めに入ったら、いたぶる事もせずに生かしたというから驚いた。

凪ちゃんの戸籍上だけの母親も。
籍を抜いた後あの世行きかと思えば、あの女と同様フロ行きになったという。
といっても年も年だからいつまで続くかは知らないけど。

部屋で一人聞いた話を思い出しているとインターホンが鳴った。

玄だ。

アイツは俺が特別な感情を持ってるなんて勘違いしてしまった時のような心配を他所に、凪ちゃんと一緒に住んでからも全く俺との関係性は変わらなかった。

特別な存在である事は変わらないが、特別な感情とは違うと気づいた。

だよな。
だって俺、何度考えても玄とどうこうしたいとは思わなかったもんな。
むしろ想像しただけ鳥肌が立った。

たぶん初めて他人に興味を持った玄に、寂しさを感じたんだろうな。

本当にこの事はある意味絶対に墓まで持って行こう。
絶対馬鹿にされる。

そして俺はドアを開けた。

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