情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「美味しい」

だろうな。
奮発したからな。

「そりゃ良かった」

そして次々と料理が運ばれてきた。

「んー美味しい」

彪の言う通り凪は魚より肉派で、しかも結構食べる。
こんなに細いのに。

遠慮なく食べる姿は無防備で不思議な気分になる。

腹一杯食わせた後、俺が食ってやりたいと思ってしまう。
ドレスだって着せておいて、もう脱がせたい。
レストランに連れてきておいて、もうホテルに帰りたい。

「玄…見過ぎ。あ、私マナーとか変だった?」

なんて、見当違いな事を言っている。

「いや。大丈夫だ。好きに食え」

こんな気持ちを悟られないよう俺もやっと食べ始めた。
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