情炎の花〜その瞳に囚われて〜
そして俺もいよいよ指輪を出す。

「凪。俺は、こんな世界で生きてる。一生変わらない。それでもお前と、命ある限り共に生きたい。結婚しよう」

そう言って箱を開けて凪の左手をとるとそこに指輪をはめた。

良かった。ピッタリだ。

凪は固まって何も言わない。

俺、間違ったか?
俺とは結婚できない?

「凪?」

すると凪の目から一筋の涙がこぼれ落ちる。

「どうした。ほら、泣くなよ」

俺はこの涙に弱い。
すぐに立ち上がり凪のそばまで行ってしゃがみハンカチでそっと拭く。

凪は泣き止むどころか次々と涙を流す。

「俺とは…結婚できないか?」

「違う! 嬉しくて。嬉しくて涙が止まらないの…玄…。私で、いいの?」

「いい。お前がいい。結婚しよう、凪」

俺はもう一度、手を取り指輪にキスをする。

「はい…よろしくお願いします」

良かった。堪らず凪を抱きしめる。

「幸せにする。俺と結婚した事、後悔させない。ついてこい。凪」

「うん。どこまでもついて行く」

「凪…愛してる」

お互いどちらからともなく触れるだけの優しいキスをした。

唇を離せば、目と目を合わせて微笑みあった。
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