情炎の花〜その瞳に囚われて〜
そしてテラスへ出れば寒空の下で綺麗に輝く夜景が一面に広がっていた。

「綺麗…」

「凪の方が綺麗だ」

凪を後ろから抱きしめる。外は寒い。

「からかわないで」

そう言いながら顔を赤くする凪。
俺は我慢できずに凪の顎を持ち上げるとキスを落とした。
今度はついばむようなキス。

そっと唇を離せば揺れる瞳で俺を見つめる凪。

「そんな目で見るなよ」

凪は顔を正面に戻す。

「凪…帰りたいのか?」

耳元で囁く俺はズルい。
俺が帰りたいのに凪に決めさせようとしている。

「……帰る」

「帰って何するんだ?」

なんて言う俺はとことん意地悪なんだろう。

「何って…」

「ん? 言ってみろ」

「玄…可愛がって…」

どこでこんな誘い方を覚えたのか。
自分から仕掛けたくせに返り討ちにされた気分だ。
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