情炎の花〜その瞳に囚われて〜
聞くところによると、お母様はもうこの世にはいないらしい。
もともと体が弱かったのもあって、玄ができた時もとても喜んでいたのに、出産後間も無くこの世を去ってしまったとか。
きっと玄にたくさんの愛情を注ぎたかったろうに。
命をかけて産んだんだ。
愛したくても愛せなかった…
産んでも愛さない親もいる。
私はいつか玄との間に子供ができた時、ちゃんと愛してあげられるだろうか。
母親に愛された記憶のない私に。
ふと不安がよぎった。
そんな私を玄は、「大丈夫」と言ってるかのような優しい表情でコクっと頷いた。