情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「彪くん…」

凪ちゃんはチラッと護衛を見る。
聞かれたくないのか?

「帰る?」

家に入れば護衛は渡部だけだし、渡部も玄関から先は入って来ない。

コクっと頷く凪ちゃん。

「家まで」

俺は運転手にそう告げる。

凪ちゃんの家に一緒に入れば、凪ちゃんはソファにトスっと座った。
そこにヒョウがやってきて膝の上に座る。
俺も凪ちゃんの隣に座った。

「凪ちゃん。何かあったの?」

「彪くん…私…不安なの」

そう言ってポツポツと話し出した。

母親に愛された記憶がないのに子育てが出来るのかと。
そういう内容だった。

それは…

俺も、玄も知らない。

でも…

「凪ちゃん。でもさ、それ心配になるのって、愛したいと思ってるからでしょ?」

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