情炎の花〜その瞳に囚われて〜
処置が終わり念の為と病室へと運ばれる。

んな騒ぐなよ。

こんなん大丈夫だっつーの。

こんなんで死なねぇよ。

その時だった。

廊下からバタバタと足音が聞こえたと思えば勢いよく病室のドアが開いて、すごい形相をした彪と凪が現れた。

目が合う。

「…え?」

一番に沈黙を破ったのは彪だった。

「げ、玄…?」

次に凪。

「おう。わり。心配かけたか?」

そう言って笑った瞬間、凪が倒れそうになる。

「凪!」

俺の声に彪が反応して凪を抱きとめる。

「凪ちゃん!」

危ねぇ。

凪はなんとか倒れずに済んだ。

そして俺のところまでドスドスと歩いてきたかと思えば、強く抱きしめられた。

「…心配した」

俺は凪を抱きしめ返す。

「ああ。ごめんな? 彪も」

「本当だよ。まったく。無事で良かった…」

そう言ってベッドの脇にあったパイプ椅子にドサッと座った。
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