情炎の花〜その瞳に囚われて〜
凪は俺のベッドに乗ったまま、まだ俺に抱きついて動かない。

「三発だって? 大丈夫なのか?」

「ああ。この通り。肩と脇腹は掠っただけ。胸は…コレで助かった」

凪からもらったシガーケースを見せた。

「そうか」

「これがなかったら、さすがに危なかったわ」

ぎゅっと凪を抱きしめる腕に力を込めた。

「またお前に助けられたな」

凪はやっと顔をあげた。

「玄…パパだよ」

は?

俺は謎な事を言う凪に訳がわからず彪を見た。
彪が頷く。

「パパって…?」

「玄、赤ちゃんできたよ」

嘘だろ…
こんなに早く?

あまりの嬉しさに言葉が出ない。

凪を強く抱きしめる。

「凪っ…ありがとう。本当に…」

「無事で良かった…」

「ああ。心配かけた」

そうだな。
もう俺は一人じゃない。
もっと気を引き締めねぇと。


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