情炎の花〜その瞳に囚われて〜
俺はいつもこういう時に鉢合わせする運命らしい。

「凪ちゃん、また痛くなったら教えて」

「うん」

「玄に連絡するな?」

「うん」

「凪ちゃん、とりあえず横になって楽にしてて」

そういうと、玄に電話をする俺。

『はい』

ガヤガヤしてんな。
外か?

「凪ちゃんに陣痛がきた」

ドゴッと鈍い音が聞こえる。

『…すぐ行く』

そしてすぐに電話が切れた。
相変わらずな玄に笑ってしまう。
絶対今、誰か殴ったよな。
大丈夫なんか?
俺が電話して良かった。

「凪ちゃん。玄すぐに来るって」

「ありがとう」

そして凪ちゃんの陣痛の間隔も徐々に短くなってきた頃、玄が珍しく慌てて帰ってきた。

「凪!」

ははは。
おもしれー。

「待て待て。まだ大丈夫だ。お前シャワー浴びて来い」

「あ、ああ」

ったくよ。
顔くらい洗ってこいよ。
いつもならあんな汚ねぇまま帰って来ないから、まぁよっぽど早く片付けて慌てて帰ってきたんだろう。






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