情炎の花〜その瞳に囚われて〜
エピローグ
ーーーー

「ニャー」

ん…ヒョウ…

「おはよう」

私はすっかり大きくなったヒョウを抱き上げる。

「ニャーニャー」

「はいはい。ご飯ね」

そっと癖で隣を見れば、玄はいない。
朝目覚める時に玄がいないのはいつになっても寂しい。

コンコンと寝室をノックする音。

「お袋。そろそろ起きろ」

「蓮。おはよう。寝坊しちゃった」

蓮は今年、高校一年生になった。
玄に瓜二つで高校生にして身長も180センチを超えた。
蓮を見るたびに玄と重なる。

「蘭。椿は?」

蓮が蘭にドアの向こうで聞いているのが聞こえる。

「今起こしてきたとこ」

椿も寝坊したんだね。

蓮の一つ下には、中学三年生の蘭(らん)。
蘭ももれなく玄にそっくり。

そして蘭の一つ下には、中学二年生の椿(つばき)。

私は三人の子宝に恵まれた。
全員もれなく彪くんが名付け親だ。


ここまで育てるのにそれはそれは大変だった。
見事に年子で、幼い頃はいくつ手があっても足りないくらいだった。
子育ては想像していたよりもはるかに大忙しだ。
まぁ、こうして寝坊する時もあるけど。

< 251 / 259 >

この作品をシェア

pagetop