情炎の花〜その瞳に囚われて〜
墓石の前に立ち持ってきた花束を供える。

"皆んなこんなに大きくなりました"

両手を合わせて心の中で話しかける。
皆んなもそれぞれ手を合わせている。
すると、ピューっと強い風が吹いて被っていたつばの広い帽子が飛んでしまう。

あ!

咄嗟に振り向き追いかける。
みんなは目を閉じていて気付いていない。

するとその先には、私の帽子をちょうど拾ってこちらに歩いてくるビシッとスーツを着こなす男性の姿があった。


玄…

「悪い。遅くなった」

そう言って私に帽子を被せてくれた。

「ありがとう」

玄を見上げればチラッとみんなを見て、こちらに気づいてないのを確認すると、優しく唇にキスが落とされた。

「玄。見られちゃうよ?」

「いいだろ別に。おとといぶりなんだから、こんぐらいさせろ。今日も綺麗だ」

そう言ってまたキスをされた。

「はいはい。やめてもらっていいですかー」

蓮だ。


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