情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「ははは。これも噂通りだな」
「噂? 通りですか?」
スタッフに尋ねると、一人が話し始めた。
「ああ。ショー中以外は笑わないって。それもまた、個性があって良いよね。凪さんらしくて。雰囲気通りだよ。まさに高嶺の花だな」
え…
そんな風に思われてたの…?
褒められてないよね。
「おい! 余計な事言うんじゃない! 気を悪くしたらどうするんだ」
もう一人のスタッフが慌てて止めに入った。
「あ! ごめんね。褒め言葉だから! 気を悪くしないでくれよ?」
申し訳なさそうに謝るスタッフ。
「あ、いえ。大丈夫です。それじゃ、お先に失礼します」
私はまた、お辞儀をするとその場から離れた。
笑わない…か…。
別に意識はしてないんだけどな。
ショー中は、気分が良くて自然と笑みが溢れるのは自分でもわかっている。