情炎の花〜その瞳に囚われて〜
あれだけ幼少期からスパルタで教えこまれても逃げ出さなかったのは、結局のところ自分でもポールダンスが好きだったからだ。

スポットライトを浴びショーがいざ始まると、普段の縛りから解き放たれる感覚に高揚感で満ち溢れ、まるで私しかこの世に存在しないのではないかと錯覚する程に。

そして拍手を浴びれば、私はここにいていいのだと自己肯定感を高められる瞬間が何よりも幸せだと感じる。

私は生まれてきて良かったのだと。

それでもひとたびステージから下りれば普段の私にスッと切り替わる。

人と深く関わってこなかった私はどうしても接し方がわからないのだ。

もともとそんなに表情筋は鍛えられてないし。
そうやって生きてきた。
これが私だ。

周りからどう思われようと、客に最高のパフォーマンスをできればそれでいい。
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