情炎の花〜その瞳に囚われて〜
一体何をしてる人なんだろう。
いつも綺麗なスーツを着ている。
社長か何かなのかな。
でもあのオーラは少し違う気もする。
一緒にいる人もなんだか怖そうな人だし。
スタッフが声をかけようとすると、片手で遮るように一緒に来ていた人が止めていたのを見た事がある。
そして誰に対しても表情が変わらない。
笑った顔が見たい。
そう思った。
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今日こそは彼は来てくれるだろうか。
そんな事を思いながら雨の中店へと向かう。
梅雨だからか最近ずっと雨ばかりで、なんだか気分も上がらない。
あんなに頻繁に顔を出していた彼も最近パタリと来なくなった。
忙しいのかな。
もしかして私のショーに飽きてしまったのだろうか。
ぐるぐるとマイナス思考のループにすっかり飲まれてしまいそうになる。
いけないいけない。
彼が来なくても、最高のパフォーマンスをしないと。
そして今日のラストの公演が終了する。
客席からは盛大な拍手。
今日も来なかった…