情炎の花〜その瞳に囚われて〜

その時だった。

誰かが私の後ろから、目の前の男性の首をガッと片手で締め上げた。

その左腕には高級ブランドの腕時計が見えた。
ものすごい力で締めあげ、みるみる顔を赤くすると男性が苦しそうにもがいて私の肩から手を離した。


思わず目の前の男性のあまりの苦しそうな表情に息を飲む。

するとパッと後ろから伸びた手が首から離れたと思えば、目の前の男性はゲホゲホと咳込み悲鳴をあげながらバタバタと逃げるように走り去って行った。

一瞬の出来事に何が起こったのかわからないでいると、クルッと向きを変えられ助けてくれた男性がスーツのジャケットを私の頭に被せた。

私はそっと顔を上げた。


そこにはいつも私を鋭い目でみつめるあの彼がいた。

嘘…でしょ…