情炎の花〜その瞳に囚われて〜
それからというもの俺は松田を連れてたびたび店に足を運んだ。
やっぱりどうしても気になる。
この胸の高鳴りの正体を知りたくて。
そしてまた目が合う。
彼女はまた笑った。
クソ。
どうなってる。
やっぱり彼女を見ると鼓動が速くなる。
苛立つ。
このまま連れ去りたい。
もっと近くで彼女を見たい。
触れたい。
この衝動はなんだ。
苛立ちがおさまらない。
俺はその度に紛らわせるため他の女を抱いた。
それでも満足する事はない。
余計に苛立ちを覚え、しまいには目の前の女を置き去りにして立ち去った。
その頃、本業も忙しくなって店に行けない日が続く。
苛つく。
「若。あの、大丈夫っすか」
松田が珍しく俺の様子に声をかけてきた。
「何がだ?」
「いや…なんでもないっす」
何だよ。
はぁ。
顔が見たい。
""小野寺 凪""
店のスタッフ名簿を見る。
まさか惚れた?
俺が?
ありえねぇ。
あの挑発的な笑み。
私を見ろと言っているような。
苛つく。
何でこんなに思い出しただけで噛みついてやりたくなるのか。