情炎の花〜その瞳に囚われて〜
男は咳込みながら逃げて行く。

凪は大丈夫か?
泣いてないか?

なぜか心配になり振り向かせる。

濡れてんじゃねぇかよ。

ジャケットを凪に被せた。

なんで女にこんな事をしているのかもわからない。

そして目が合った。

近くで見た凪はメイクを落としていても、やっぱりとんでもない美人そのものだった。

気づけば俺は何を思ったのか衝動に任せて凪にキスをしていた。

ダメだ。
何やってる。
一般人に。

なんとか離れるも、なんと今度は凪の方からキスをしてきた。

プツっと何かがどこかで切れた瞬間、俺は貪るように凪の唇に食らいついた。

鼓動が速い。
感じたことのない高ぶる心臓の音。

このままだと連れ去ってしまう。

ダメだ。
こちらの世界に連れてきては。

凪は日の目を浴びて生きている。
俺とは違う。


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