情炎の花〜その瞳に囚われて〜
過去
〜彪side〜

玄から連絡がきたと思えば頼みがあるなんて言われた。

『ちょっとだけ様子を見てきて欲しい』

「え? なんの?」

玄は相変わらず言葉が少ない。

『俺の店の』

「は? 何で俺?」

自分で行けばいいだろそんなん。
松田だっているじゃんかよ。

『いいから。22時か24時な』

あ、俺のタイミングでは行けないやつね。

「なんかあんの?」

『いいから。見てこい』

「玄ー。正直に言え」

『………。気になんだよ』

あ、これ女?
はぁーん。
なるほどね。
玄が誰かに興味を持つなんて初めてだな。

それは俺も気になるな。

「はいはい。わかりましたよ。見てきますよ。どんな子?」

女とは言われてないけど。

『行けばわかる』

やっぱり女か。

「了解。明日でいい?」

『ああ』

玄にここまでさせる女ってどんな子なんだ?
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