情炎の花〜その瞳に囚われて〜
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「はーい。それでは、ペアを組んでくださーい」
美術の先生が声をかけた。
俺は友達が一人もいない。
それを全然寂しいとも思わなかった。
そしてもう一人。
俺のクラスには凄いやつがいる。
黒澤 玄だ。
背が高くて、顔が綺麗。
あいつもいつも一人だ。
成績はいつも学年一位。
徒競走も学年一位。
それでも表情ひとつ変えない。
誰とも話さない。
いつも黒い車で送迎されている。
先生も授業中、玄にかけることはない。
そしてボーっとしてれば、気づけばペアを組んでいないのは俺と玄の二人だけになっていた。
俺たちは余り物同士ただ黙って向かい合って座った。