情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「それでは、お互いの顔を書いてみましょう」
いつもはチラッとしか見れないが、今はここぞとばかりにジロジロ見ても怪しまれない。
やっぱり綺麗だなコイツの顔。
俺の手は流れるように動き出す。
こう見えても俺は絵だけは得意だ。
他は体育くらいで頭も良くない。
コイツとは大違いだ。
おお。
やっぱりモデルがいいと描きごたえがあるな。
玄も何やら黙々と描いているようだ。
楽しみだな。
どんな風に描いてくれるんだろう。
きっと絵も上手いんだろうな。
「はい。それでは、お互いのスケッチブックを交換してください」
そう言われて俺は玄にスケッチブックを渡した。