情炎の花〜その瞳に囚われて〜
またか。
女連れてくんだな。
はぁ。反吐が出る。
俺は引き出しから二千円をみつけてスケッチブックを待って夕方前に家を出た。
今日はここにしよう。
いつもは近くの公園だけど今日はなんとなく河原まで来てみた。
河原の風景を無我夢中で描いていればあっという間に暗くなってきた。
今は夏。
19時過ぎくらいか?
外灯の下に移動して今度は夜景を描き始めた。
するとスーッと一台の車が俺の後ろに停車した。
ヤベェ。サツか⁈
俺は振り向きもせずスケッチブックを閉じて走り出そうとした時
「彪! まて! 俺だ! 玄だ!」
玄⁈
俺の名前知ってたの?
俺は立ち止まり振り向いた。
玄は俺の顔を見るなりまた目を大きく開いた。
ヤベェ。
まだアザが治ってなかったんだった。