情炎の花〜その瞳に囚われて〜


2日⁈ ヤベェ。帰らないと!
また殴られる!

「玄、悪い! 助かった! 俺、帰らないと!」

「だめだ」

で、でも…
また殴られる。

「お前、帰りたいの?」

え…?

「なん…で…?」

「いいから」

玄は見たこともないような真剣な表情をしている。
正直に言え。
そう言ってるみたいに。

俺は観念するようにゆっくりと首を横に振った。

「親父」

玄が廊下に向かって声をかけた。
するとものすごいオーラを放つ男性が部屋に入ってきた。

「名前は彪と言ったか?」

低い威圧的な声色。
それでも目の奥はどこか優しく見えた。

「はい」

「家に帰りたいか?」

また聞かれ思わず玄を見ればコクっと頷いた。

「いいえ。帰りたく…ありません」

「よし。んじゃ、今日からお前はここに住め。俺が面倒みてやる」

< 58 / 259 >

この作品をシェア

pagetop