情炎の花〜その瞳に囚われて〜
2日⁈ ヤベェ。帰らないと!
また殴られる!
「玄、悪い! 助かった! 俺、帰らないと!」
「だめだ」
で、でも…
また殴られる。
「お前、帰りたいの?」
え…?
「なん…で…?」
「いいから」
玄は見たこともないような真剣な表情をしている。
正直に言え。
そう言ってるみたいに。
俺は観念するようにゆっくりと首を横に振った。
「親父」
玄が廊下に向かって声をかけた。
するとものすごいオーラを放つ男性が部屋に入ってきた。
「名前は彪と言ったか?」
低い威圧的な声色。
それでも目の奥はどこか優しく見えた。
「はい」
「家に帰りたいか?」
また聞かれ思わず玄を見ればコクっと頷いた。
「いいえ。帰りたく…ありません」
「よし。んじゃ、今日からお前はここに住め。俺が面倒みてやる」