情炎の花〜その瞳に囚われて〜
祖母が残した通帳を開けば見たこともないような金額に驚く。
それは祖母が私を引き取ってから毎月数万円ずつ積み立てされていた。
そして店で働くようになってからはちゃんとした給料の金額が振り込まれていた。
通帳には暗証番号だけが書かれたメモ。
そして銀行印と印鑑証明書。
私は迷わずそれだけを手に取り、いちおう戸籍上は母親である祖母の娘に見つかる前に逃げるように家を飛び出した。
そして行く当てもなく、あの街から遠く離れた場所へと向かって電車を乗り継ぎ、この街へやってきた。
ここは、眠らない街。
高校も行っていない私には祖母から教えてもらったポールダンスしかない。
そしてまだ未成年だ。
それでも働いて住む場所は確保しなければ。