情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「風呂?」
「ああ。入れば見れる」
玄は恥ずかしげもなく服を脱ぎ出した。
俺…傷が…
「彪。大丈夫だ。脱げ。早く入るぞ」
そうか。もうバレてんだよな。
俺は服を脱いだ。
玄は俺の背中に今回付けられたものと、昔から付け続けられた大量の火傷の跡を見ると、パーンと叩いた。
「いって!」
「ほら、行くぞ」
そう言ってニカッと笑って扉を開けた。
そして中を見てその光景に開いた口が塞がらなかった。
も、もしかして絵って…
「ほれ、いっぱいあんだろ?」
そう言ってまたおかしそうに笑った。
玄の家が極道だとこの時初めて知った。
そして玄の背中にも大きな切り傷があった。
右肩から左の腰までザックリと。
あいつも何も言わないから俺も聞かない事にする。
俺はその後、散々組員の絵を食い入るように見せてもらい見事な絵柄に心を一瞬で奪われた。
そこで俺は小学生にして彫師になる事を決めた。
そうして俺は黒澤家に保護される事になったのだった。