情炎の花〜その瞳に囚われて〜

カフェにつくなり名前を言われて驚いた。

そうだ。彪さんだ。
何で思い出さなかったんだろう。
子猫にヒョウと名前を付けてたのに。
同じ名前つけちゃった。

そしてなんでポールダンスをしているのかを聞かれた。

どうしよう。
人に話した事はない。
というかそもそも人と話をしない。

正直に言うべきか…

でもな。
彪さんはなんだか不思議と話しやすい。
とても親切にしてくれたしきちんとしないとだよね。

誰かに自分の生い立ちを話すのは初めてだったけれど私はポツポツと話してみた。

彪さんは時折り眉間にシワを寄せたり、目を大きく開けたりしながらも、頷きながら静かに聞いてくれた。
それはとても真剣に。

「それは大変だったね。あのパフォーマンスは凪ちゃんの努力の賜物そのものだ。君は、生まれてきてよかったんだよ」

本当に親身になって聞いたあとそう言った。
ジワっと目が熱くなった。

生まれてきてよかった…か。