情炎の花〜その瞳に囚われて〜
葛藤
〜彪side〜

凪ちゃんと話をしている間、俺のポケットの中では携帯がなり続いていた。

玄だ。

どんだけ気になってんだよ。

凪ちゃんに何気なく聞いた話しは、彼女の壮絶な生い立ちから入った。

親に捨てられ、血の繋がらない祖母に罵声を浴びせられながら厳しい練習に耐えた日々。
高校にも通えず、中卒からステージに立っていたと。
祖母が亡くなり、家を追い出され若干17歳でこの街に逃げてきて、そこから一人でポールダンサーとして今日まで生きてきたと。

俺は小5からは180度人生が変わった。
たくさんの家族愛を教えてもらった。
おかげで極度の人見知りも改善された。

それに比べて凪ちゃんは今でもずっと一人だ。
誰にも頼らずここまで生きてきた。
とても真似できる事じゃない。


俺も聞かれて何か似てるものを感じて、あまり生い立ちは人に話したことがないが、玄の名前や黒澤組の事だけ伏せて話した。

凪ちゃんは涙を流してくれた。
やっぱり優しい子だ。
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