情炎の花〜その瞳に囚われて〜
生憎、顔も知らない産みの両親だが祖母の言う通り私の顔面は美人の類に入るらしい。

発育も良好で祖母の店でも中学を卒業したばかりなのに二十歳と言っても怪しまれる事なく働いてきた。

とりあえずこの街でなら仕事はすぐに見つかるはず。

身支度を整え、飛び込みで何軒か回って、案の定すぐに働き先が見つかった。
運が良い。
ちょうど欠員が出たところだったらしい。

本来は正式にオーディションを受けなければならないらしいが、その場で踊って見せれば口をあんぐり開けて私を見たかと思えば、すぐにどこかに連絡して採用の運びとなった。

この見た目に産んでくれた顔も知らない両親と、幼い頃からレッスンを積み重ねてきた祖母に感謝だな。

そうして保証人もなにもなくても借りられたボロボロのアパートもみつかりなんとか住む場所も確保した。
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