情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「んで俺、聞いたんだよ。てかさ、凪ちゃんてさ普段ステージの上の感じと全く別人なんだよ」
「ああ」
知ってたのかよ。
「だから俺、ステージの凪ちゃんがあの時の凪ちゃんだって話しかけられるまで、気づかなかったんだよ」
「んで?」
「だから聞いたんだ。何で、ポールダンスしてんのかって」
「ああ」
それから凪ちゃんが言った通りに話した。
「おい。それ本当か? 今も一人で?」
「ああ。凪ちゃんは俺と違って、誰にも助けてもらえなかったんだ」
「んだよ、それ…」
玄は悔しそうな表情を浮かべている。
自分ではたぶん気付いてないけど。
「気になってんだろ?」
「なぁ…こっちに連れてきてもいいのか? あいつは、そんな辛い過去も乗り越えてそれでも今、日の目を浴びて立派に生きてる」
玄は頭を下げて両手で抱え込んだ。
コイツめっちゃ惚れてんじゃん。
だから悩んでんだ。
だから危険にさらさないために距離を置いてるんだ。
本当は近づきたいのに。