情炎の花〜その瞳に囚われて〜
偶然
〜凪side〜

あれからちょくちょく友達第一号の彪くんとはご飯を食べたり、彪くんが店に見に来てくれたりしている。

彪さんと呼んでいたら「なんか友達なのに距離を感じる」「呼び捨てでいいよ」と言われたけど、それは私にはだいぶハードルが高かったから、くん呼びになった。

そしてあの彼は、いまだに来ない。

今も私のロッカーには彼のジャケットがクリーニングの袋をかぶってぶら下がっている。

"G.K"
なんて名前なんだろう…

嫌われちゃったのかな…
そもそも好きと言われてもいなければ、話した事もなかったんだった。

私の勘違いだったのかな。
あの日のキスは。

まるで私を全身で求めているような、そんな感じがした。

私も…

こんな感情は経験した事がない。

ここは恋愛上級者っぽい彪くんに聞いてみようかな。
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